5期生Kくんの受験体験記(児之原編)
5期生のKくんが書いてくれた受験体験記。もうお読みいただけましたでしょうか?
上記は本人が書いてくれた受験体験記ですが、今回はそんな彼を直接指導していた児之原の視点から、彼の受験生活の様子をお送りしたいと思います。
1期生でお兄さんが通ってくれて、その流れで、Kくんが中学生になる頃に、母親からとにかく体験だけでも行ってみたら?と言われて面談に来たのが始まりである。
当時、「面談に行くだけで、体験はしなくてもいいよね?」と母親に伝えていたらしい。そんなKくんであったが、僕がスーツを着ていなかったという点で気に入ってくれて体験に参加し、入塾に至る。笑
そして、彼はLib史上、ダントツの成績と偏差値を達成した。ただ、本人も自覚しているが、彼は元から秀才だったわけではない。むしろ、どちらかというと地頭はあまりよくない方であった。過去に通った生徒(23人)と比べても、上から10番目くらいであろうか。語彙の量も少ないし、頭の回転もそこまで早くはない。
しかし、3年間をかけて確実に地頭も良くなり、学力面でも1番になった。今では本人がその気になれば、塾なしでも大学受験で国公立を十分に狙える。そのくらい力がついた。
彼の才能は「続けること」にあった。行動を惜しまない。サボらない。そして、未来に対して今を投資できる。それを3年間続けたのだから、本当にすごいとしか言いようがない。はっきりいって、どこの世界に行っても通用する。
そんなKくんだが、彼の受験は決して順風満帆ではなかった。中1の頃から定期テストを頑張り内申点を取ってきたおかげで、私立の併願は選びたい放題。しかし、本人は私立に行く気はない。自分の中で、なんとなくではあるが私立に良いイメージがなく、公立高校に行きたいと願っていた。
ただ、どうしても行きたいと思う公立高校があるわけではない。
そこで、特に希望がない中で一旦選んだ高校は、地域トップ校であるA高校。だが、A高校に行くには当時のKくんでも厳しい。かなりの努力を要する必要がある。
心の底から行きたい!と思っているわけではなかったので、モチベーションなど上がるわけがなかった。
そこで彼が8月頃に僕に言ってきた第一志望は、なんと、私立のB高校。これまで私立は嫌だと言っていたが、私立のB高校に行きたい理由を述べてきた。
このとき、僕には分かっていた。彼が目の前の現実から逃げていることを。私立のB高校へ進学するというのは、逃げであることを。公立のA高校にそんなに思い入れがないということも言っていたが、正直、落ちるくらいなら、合格が確定しているA高校がいいと考えたのだろう。(※「逃げである」と表現したが、実際には本人はそのつもりはなかったのかもしれない。僕の側からはそのように見えたというだけの話。さらに、別に逃げることは悪いことでもなんでもない。状況によっては、逃げることの方が正解の場合も多々ある。)
ちなみに彼がこう思ってしまったのは周りの友達の影響もある。彼の周りには、自分よりも努力をせずにテストでいい点数を取る子たちがいて、その中で引け目を感じていたのだ。
ただ、僕には分かっていた。確かに高校受験の時点ではその子たちには偏差値では勝てないだろうが、大学受験までみるなら、100%Kくんの方が勝つということに。
いわゆる他塾の進学塾に通っている子たちは情報処理能力が高い。だから、高校受験程度であれば、そんなに努力をしなくても、塾の授業を受けてそれなりに課題をこなしていれば、あまり努力をしなくても偏差値の高い高校にも合格できる。ただし、彼らは高校入学後は伸びない。
なぜなら塾の先生に何をやればいいかを指示されている状態での結果だからだ。自分で勉強のやり方を分かっていないので、自宅学習の質が低い。つまり、塾だけで結果を出しているのだ。
だから、大学受験になると途端に結果を出せない。大学受験では塾以外でいかに自分で勉強するかが問われる。高校受験とは、勉強する量が比較にならないほど多いからだ。
継続した努力ができないと、大学受験では通用しない。才能だけでは乗り切れないのだ。
ところがKくんは違う。彼は努力することができる。行動を続けることができる才能がある。3年間、塾だけではなく、自宅学習もきっちりやってきた。何より、この僕が3年間をかけて勉強方法をきっちり叩き込んである。
それでも、僕は一切否定しなかった。「それって逃げなんじゃないの?本当はA高校がいいんでしょ。大変ではあるけれど、まだ十分に合格の可能性だってあるわけだし、だったら挑戦するべきじゃない?」とも言わなかった。
何も言わず、「自分で決めたならそれが正解!」とKくんにもそれでいいと答えた。( 実際、私立のB高校に通うことになっていたとしてもそれは正解である )
そして、11月の終わり頃、Kくんは「やっぱり公立のA高校を受験します」と言ってきた。
黙って見守った結果、最終的には「最後までとことん勉強を頑張りたいです」と自分で本当にやりたいと思う方を決めてきた。そこからはもう何の迷いもなく、勉強に専念した。
残念ながら第一志望であった公立のA高校にはあと一息で届かなかった。志望校を一つ下げて、公立のB高校を受験し、見事に合格した。
実は、僕は彼がもしもB高校に落ちてしまったら、Libをたたもうと考えていた。
理由は、Kくんはこちらの指示を全て完璧にこなしてきたから。
これまで通ってくれた生徒たちは、残念ながら、いつも僕の指示を完璧にはこなせなかった。課題をさぼったり、目標の学習時間に到達しないこともしばしば。やはり、普通はなかなか努力ができないのだ。そりゃそうだ、うちに来る生徒たちは勉強が嫌いなんだから。笑
それでも過去の生徒たちも、自分史上、最大に勉強している。
ただ、僕の要求するハードルが少々高いだけだ。そんな中で、Kくんだけは3年間、僕の指示を完璧にこなした。失礼だが、もうKくんほどの生徒は今後現れないだろう。
つまり、3年間、こちらの指示を完璧にこなした。そんなKくんを合格させることができないのなら、僕の側に100%原因があり、指導力がないと言わざるを得ない。
だから、塾をやめる決意をしていた。( Kくんは無事に合格してくれたので、Libは継続します! )
Kくんの頑張りを3年間、すぐそばで見ることができた僕は本当に幸せ者である。彼が今後どのような人生を歩んで行くのか。今から楽しみでならない。
そして、いつかお酒を酌み交わしながらこういうのである。
「 やっぱりな。お前はあのときから、すごいやつだったよ。 」と。